大判例

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東京高等裁判所 平成6年(ネ)3916号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

一、当事者の求めた裁判

1. 控訴人

(一)  原判決を取り消す。

(二)  被控訴人の請求を棄却する。

(三)  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

2. 被控訴人

主文と同旨

二、当事者の主張

次のとおり付加するほか、原判決事実摘示のとおりである。

(控訴人の当審における主張)

控訴人は、破産者から破産宣告前に、本件ゴルフ会員権について譲渡担保権の設定を受け、本件会員資格証書の交付を受けた。本件ゴルフ会員権は、預託金会員組織のゴルフ会員権であるが、その会員資格証書は有価証券として取り扱われているから、破産宣告前にその交付を受けていた控訴人は、譲渡担保権の設定をもって破産管財人に対抗できるものと解するべきである。そして、仮に控訴人が破産管財人に対して対抗できないとしても、破産管財人には会員資格証書の引渡しを求める権利はなく、その引渡しを求める本訴請求は失当である。

三、証拠関係<省略>

理由

一、当裁判所も、次に記載するほか原判決と同一の理由により、被控訴人の会員資格証書の引渡しの請求は理由があるものと判断する。

(控訴人の当審における主張について)

預託金会員組織のゴルフ会員権は、それについて発行された会員資格証書に化体されるものではなく、会員権の譲渡は一般の債権譲渡の方式により行うことができるのであって、必ずしも証書の引渡しを要するものではない。したがって、会員資格証書を有価証券とみることはできないのであり、破産宣告前に会員権の譲渡について確定日付のある通知・承諾を得ていないにもかかわらず、会員資格証書の交付を受けていたことを根拠に、譲渡担保権の設定を破産管財人に対抗できるとする控訴人の主張は採用することができない。

そして、債権証書の所有権は債権者に属するものと解すべきであるから、債権証書をその債権を有しない者が占有している場合など占有者に占有の権原がない場合には、債権者は、証書を占有する者に対し証書の所有権に基づきその引渡しを求める権利を有する。そして、債権の譲渡について確定日付のある通知・承諾を得ていない債権の譲受人は、譲渡人が破産宣告を受けたときは、その債権の譲渡をもって破産管財人に対して対抗することができないのであって、その場合の譲受人は、たとえ破産宣告前に債権証書の引渡しを受けていたときでも、破産管財人との関係では、債権を有しないにもかかわらず債権証書を占有していることとなり、管財人との関係で証書を占有する権原がないのであるから、破産法七条により破産財団について管理処分権が与えられ債権者と同様の立場に立つ破産管財人は、債権者が有する債権証書の引渡請求権を行使して、前記の譲受人に対して、その占有する債権証書の引渡しを請求することができるものと解することができる。そして、預託金会員組織のゴルフ会員権について発行された会員資格証書は、債権証書の性質を有するものであるから、会員が破産宣告を受けたときは、破産管財人は、破産管財人に対して会員権の取得を対抗できないにもかかわらず会員資格証書を占有する者に対して、上記の法理に基づき、その占有する会員資格証書の引渡しを求めることができるものと解することができる。

それゆえ、破産宣告前に会員権の譲渡について確定日付のある通知・承諾を得ていなかった控訴人に対して、破産管財人である被控訴人に会員資格証書を引き渡すよう命じた原判決は、正当であり、この点に関する控訴人の主張は採用できない。

二、以上のとおり、被控訴人の請求を認容した原判決は相当で、本件控訴は理由がない。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 佐藤繁 裁判官 淺生重機 杉山正士)

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